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認知症と後見人、いろいろ問題もあるようです
(日本経済新聞より)
認知症や知的障害などにより判断能力が不十分である人を想定し、その財産を守るための仕組みとして成年後見制度があります。家庭裁判所に申し立てることにより、親族か、弁護士や司法書士といった専門家が「後見人」となり、財産管理や契約行為をする役を担います。
後見人には、子どもや配偶者などの親族が選ばれるケースが全体の4割です。身内でありながら後見人としての務めを果たさず、預金を勝手に引き出して使ってしまうといった例が起きています。
後見人は、財産管理の実情について帳簿などの提出を通じて家裁に報告しなければなりません。後見人の中には、そうした報告を頻繁に怠る人もいます。
後見人に不正行為や職務怠慢が見つかった場合、周囲の親族などはその解任を求めて家庭裁判所に申し立てることができます。悪質な場合には、家裁は職権によって後見人を解任することが可能です。
家裁に相談すると、まずは後見人とよく話し合って解決するよう促されます。話し合いで済まないのであれば、解任理由を文書に書いて家裁に提出します。不正についてはその証拠を掲げることも重要です。
後見人に問題あり、と家裁が判断したとしましょう。その後の対応は主にふたつあります。ひとつは、解任の申し立てを受理するケース。家裁は後見人の陳述を聞いたうえで解任し、別の人に替えることができます。
もうひとつは、後見人に自主的に辞任を求めるケースです。後見人は辞任しても責任から逃れられるとは限りません。例えば私的流用があった場合、損害賠償などの民事責任や業務上横領罪などの刑事責任を問われる可能性があります。
最近では、親族ではなく、弁護士や司法書士などの専門家が後見人に選ばれることが増えています。最高裁判所の2013年統計によると、親族以外が後見人になった比率は57.8%と、前年より6ポイント強高まりました。親族間で予想されるトラブルを家裁が避ける狙いもあります。
後見人がきちんと仕事しているかをチェックする仕組みもあります。「後見監督人」といい、必要に応じて家裁が職権によって選任します。
司法書士の村山澄江さんは、「親族が後見人となる案件で裁判所が後見監督人をつけるケースが増えてきた」といいます。管理する財産が多額で内容が複雑であるほど、後見人はより重大な責任を求められます。
[日本経済新聞朝刊2014年6月25日付]
後見人が使い込んだ財産に対する損害賠償責任は問われるのでしょうか?やられ損?